富山県黒部市に住む小学校教師の次女・岸本藍(比嘉愛未)、東京で夫と二人の子どもと暮らす専業主婦の長女・宮沢紫(ミムラ)、金沢で老舗料亭の若女将業に勤しむ三女・岸本茜(佐々木希)。祖母の葬儀で久しぶりに会った三姉妹は、遺書を開き、驚きの事実を知る。
ー許して下さい。あなた達のお母さんは生きていますー
母・美津子(鈴木保奈美)は、姉妹がまだ幼かったころ、父の死をきっかけに酒に溺れ、19年前に火事で重傷を負い入院してからは一人離れて暮らしていた。姉妹は金沢で料亭を営む父方の祖母・辰子(多岐川裕美)に引き取られ、母宛の手紙を書き続けたが返事はなく、数年前に母は亡くなったと祖母から聞かされていたのだ。その母が生きている……。 葬儀の翌日、金沢から母がいる富山の介護施設へ向かう三姉妹。そこには長年の飲酒が原因のアルコール性認知症を患い、娘たちを思い出せずにいる母の姿があった。三姉妹は衝撃を受け止めきれないまま、それぞれの日常に戻る。

職場や家庭では溌剌と振る舞う三姉妹だが、心の奥には母から受けた長年の傷が残っていた。藍は市役所職員の恋人・聡(桐山漣)からプロポーズを受け、彼の母(古村比呂)にもあたたかく迎え入れられるものの、二人の親密な親子関係と自分の生い立ちを比べて自信をなくしてしまう。東京の紫は、夫の和彦(長谷川朝晴)から子育てや家事に関する暴言を浴びせられ、言い返せない。女将業の重責を担う茜は、かつての母のようにアルコールに頼るようになっていた。
そんな中、藍は聡と一緒に母を再訪する。施設の部屋には母が宝物のように大事にしているオルゴールがあり、蓋を開けると、パッヘルベルのカノンが流れ出す。それは母娘が幸せだった頃、母が教えてくれて、三姉妹で連弾していた想い出の曲。そして別々に暮らすようになった後も、三姉妹が母が見に来ることを期待して、ピアノの発表会で演奏した曲だった。あの時の曲を、母はまだ憶えている……。そう確信した藍は紫と茜に連絡を取り、母の過去を探る旅に誘い出す。

母はどんな理由で三姉妹のもとを去り、どんな思いで生きてきたのか? 
祖母はなぜ姉妹に嘘をついたのか? 
黒部で母がアルコール依存症の治療を受けた病院や、退院後に住み込みで働いていた場所を訪ね、雇用主の澄子(島田陽子)をはじめとする人々から母の思い出話を聞く三姉妹。やがて彼女たちが真実に辿り着いた時、眩しい光の中で「カノン」のピアノ三重奏が再び響き渡る——。